いきもの観察

実家にて。昼過ぎに父親の自転車を勝手に借りて近所をサイクリング。最近まったく自転車に乗っていなかったせいか、結構距離があると思っていたところまででも意外と早く着いたりして、あらためて自転車便利だなと思いながら田んぼ地帯を走っていく。あたり一面水のはられた田んぼの真ん中を走っていると、雑木林の中を走るのと比べてあきらかに風が冷たいので気持ちがいい。
途中、田んぼの水の出ていない給水栓のところにおたまじゃくしがたくさんいるのを見つけたので自転車から降りて見てみたら、みな一目散に泥の中に隠れてしまったのだけれど、しゃがみこんだままそこでじっとしていたら、少しずつ泥から出て泳ぎはじめて、だんだん水も澄んできたのでそのまましばらく眺めている。トノサマガエルのおたまじゃくしだからなのか、どれも大きくまるまるしていて、10匹に1匹くらいはもう足が生えている。深いところにいるおたまじゃくしが時々水面に向かって垂直にのぼってきて、水面に口を出したと思ったらまたすぐに深いところへ潜っていく。捕食なのか息継ぎなのか、なんなのかわからないけれど、とにかくそれをずっとやっている。
帰宅して少しすると、急に雷の音がしてすぐに雨が降りはじめた雨があっという間にものすごいどしゃ降りになる。屋根の樋のキャパを越えてバシャバシャと屋根から落ちてくる雨水とどしゃ降りを家の縁側から見ていたら、そのうち雨に混じってひょうが降ってくる。丸くて白いコロコロが庭の芝生の緑の上でポンポンポンポンはずんでいるのが面白い。

ジューン・アンコンシャス

仕事場で長いことトイレを我慢した後で、ひと息ついてトイレにいく途中の廊下で歩きながら無意識にズボンのベルトを外している自分に気がついて驚く。幸運にも廊下でもトイレでも誰ともすれちがわずに済んだのでセーフ。
夜、家で妻がスリッパが片方だけ見つからないからと右足に自分のスリッパをはいている。一応抗議はしてみたものの返してくれる気配もないので左足だけ履いてウロウロする。裸足の右足だけグリップがよく効いて左ターンだけがとてもスムーズ。

特になにを買うわけでもなくデパート

昼過ぎに妻と赤ん坊を乗せて車で二子玉川へ。下り方面から二子玉川駅の前を通り過ぎ、すこし先の高島屋のところで右折するのだけれど、その交差点のずいぶん前から一番左の斜線には駐車場待ちの車の列が出来ているので真ん中の車線を通りながら交差点を左折して、車の列が右に曲がるあたりの先まで行ってから左折して、細い道をしばらく行った先のコンビのところを右折する。246の高架下をくぐってすぐ正面左手にあるグリーンアイランドの駐車場の入り口が見つからなくて、そのまま住宅街に入り込んでしまう。大回りしてまた駅前あたりに戻ったので、先ほどの道をもう一度通る。駐車場待ちの車の列を左に見ながらその先までまた行って、左折して細い道をしばらく行った先のコンビのところでまた右折する。246の高架下をまたくぐって、道なりに左に曲がってすぐのところを通り過ぎながら見つかった駐車場の入り口は、反対側の車線からしか入ってはいけないように書いてある。信号が赤で車は停車。バックミラーで坂の下にある駐車場の入り口を見ながら考える。またさっきの道をもう一周するのは嫌だしそもそももう一周したところでこちらからは入れなかったのだった。かといって反対車線で同じ場所に戻って来るには道がわからないからまたずいぶん時間がかかってしまいそう。丁度赤信号で反対車線の車も来ていないのをいいことにその場で無理やりUターンすることにしたら、同じタイミングですぐ前の車もUターンをし始める。前後逆転してこちらが先に無事入場。
高島屋で食事をして買い物をしてお茶を飲んで、閉店時間になり帰る。駐車場行きのシャトルバスをベンチに座って待つ間、膝の上の赤ん坊が隣に座ったおばさんに首をかしげながら微笑みかける得意のやつをたくさんやっていて、やられたおばさんもその度ごとに「んふふふ」と赤ん坊に向かって微笑みかけ返してくれている。
帰宅後、買ってきた華正楼の肉まんを夕飯代わりに食べて、風呂、就寝。

奈良ゆき

独特のルビ打ち

朝、パンとコーヒーの朝食ののち、支度をして三人で外出。新横浜から新幹線に乗り、赤ん坊を交代で抱えながらシウマイ弁当を食べる。東京から乗ってきた義母が少し離れた後ろの席から時々やってきて、こちらの膝の上にいる赤ん坊のことを持て囃す。
新大阪まで行く義母と京都駅で別れて、近鉄電車で奈良方面へ。新幹線ではぐずり気味だった赤ん坊がこの電車の中では妙に上機嫌で、座席から体を乗り出して隣や後ろの乗客に愛想を振りまいていて、大和西大寺で下車する際には皆から「バイバイ」と言われているので赤ん坊の脇の下に指を入れて手を振るフリをさせてみる。
駅から歩いて平城宮跡へ。だだっぴろい草っぱらをベビーカーを押しながら歩く。

夏のように暑い気がする日

朝、すっかり覚醒して布団のまわりをうろうろしながら親を蹴ったり、襖を破ったり、しはじめた赤ん坊を抱えて下に避難。居間でオムツを替えている最中、油断して下半身をさらした姿で立たせていた一瞬の隙に居間の敷きものの上に尿をこぼすのでアワアワする。とっさに赤ん坊を持ち上げてしまったので、尿がいろんなところにポタポタ落ちる。あとで起きてきた妻と掃除をしてから、ホットケーキとサラダとヨーグルトとコーヒーで朝食。食後に身支度をしてから歩いて歯医者へ。治療後、駅前の本屋で買ったマンガを読みながら歩いて帰宅。家に着くまでにちょうど一冊読み終わる。
午後、赤ん坊を抱えて歩いて三人で外出。近場の大きめな乗換駅まで電車で行って、旅行会社で来週の切符の手配。係の人に注文を出しながら、騒いでいた赤ん坊が疲れて膝の上で寝はじめてしまったのを見ていたら、なんだか自分も眠くなってきて、カウンターの椅子に座りながら少し寝てしまう。すぐに起きてあれこれ言って無事手配が済んだあと、変な時間で他にお客が誰もいない駅前のレストランでインド風のカレーを食べて、デパートをうろうろしていたらすっかり夜になっていて、夕飯の代わりの鯛焼きを買って帰路に着く。
このごろ家に入る時は、門から玄関までの通路がいつのまにか茂ってきた庭木の枝のせいで狭くなっているから、近いうちに刈りたいと思いながら、赤ん坊の頭を抱え込むようにしてそこを通る。

線香もあげずに家を出る

朝、起床して朝食にトースト(ベーコン、玉子、あんこ)とサラダとコーヒー。支度をしてから妻と赤ん坊と三人で出発。駅まで歩いて電車で実家へ向かう。小田急線、JR、東武線と乗りついでの移動中、実家に近づくにつれて赤ん坊がベビーカーや座った親の膝の上で安定しているのを拒否してくるので、妻と自分とで交代で赤ん坊を抱っこしながら空いている電車の中で立っている。最寄の駅まで迎えに来てくれた父親の車で家に到着。
昼食に筍の炊き込みご飯、鶏の唐揚げ、サラダ、煮物、漬物、みそ汁で昼食。ひと月ぶりくらいの赤ん坊を見た両親が「体が締まってきた、硬くなってきた」としきりに言う。
夜、夕食に今日二度目の筍の炊き込みご飯、サラダ、煮物、漬物、みそ汁。ひと休みしてから入浴。風呂の中で眠ってしまった赤ん坊を太ももの上に乗せながら体を洗ってあげている最中、風呂場の扉が突然開いて、隙間の向こうからこちらを覗く父親と目が合う。扉はまたすぐに閉まって、扉の向こうで「なに、寝ちゃったん?」と、見ればわかるようなことを言いながらこちらの返答を待つわけでもなく父親が居間に戻っていく音が聞こえる。
夜中、みんなが寝たあとに、居間でひとりでBSの音楽番組を見ていると、番組の最後にテロップが流れたのを見て忌野清志郎が亡くなったことを知る。かなり前の「快復して舞台に立った」というニュースを最後に近況についての認識が止まっていたので、その情報が唐突過ぎて驚いたのと、それが冗談だとはさすがに思わなかったものの、なぜか自分は「今見ていた番組は再放送かなにかだから実際彼が亡くなったのはもっと前のことであるのだろうけれど、それにしてもなぜ今までそのことを自分は知らなかったのだろう」と思ったのだった。そしてそれがいつのことだったのかがとても気になったので、携帯を使ってネットで確認してみると、それはやはり今日の出来事だったことでなんだか妙な気分になったのは、時間についての感覚が自分の中で何度か勝手に揺らいだからだったのだと思う。それで今日は義父の三回目の命日。

はい、もう少しにこやかにお願いします

2009年の庭のボタン(部分)

朝、上の部屋の布団の中でまどろみながら、赤ん坊が本棚の本のカバーを次々に外したり襖を破いたりするのをできる限り制止したり、いつのまにかまた寝ていたり。朝早くに赤ん坊に母乳をあげてからすぐ庭に出て家の裏の草取りをしていた妻が、ひと段落ついたのか家に上がって居間や洗面所を歩きながら「おなかへったー、おなかへったー」と大きな声で叫んでいるのが聞こえてくる。さっきまで隣で寝ていたはずの赤ん坊が「ぼふぇっ」という音とともに飲み込んだ襖紙と朝飲んだ母乳を布団の上に吐き出す音でしっかり起床。
下に降りてパン食。午前中に写真屋に電話で予約を入れてから、昼過ぎに外出して市内の写真屋へ写真を撮ってもらいに行く。去年大きく膨らんでいた妻のお腹はもうへこんでいて、かわりに今年は自分の腕の中で涎をだらだらに流しながら笑う小さくて重たい人がいる。
しばらく前から大きなつぼみたくさんつけているのが気になっていた庭のボタンが一昨日くらいから一気に咲き出してちょっとしたことになっている。調べればすぐわかることかもしれないけれど、確か去年も結構たくさん花が咲いたなと驚いた記憶がある。でも今年は確実にそれを上回る花の数で、賑やかすぎてやかましいくらいの印象すらあるのが面白い。