競艇遠足
小さく波打つ水面に映る真っ青な空とくすんだ色のファッション。連休の中日の午後、ねずみ色の人の波に乗って、初心者4人で競艇場へ。行ったはいいが、初心者なので誰も勝手がわからない。お互い「あってる?」と目で確認しあいながら、ひとつひとつステップをこなし、そしてまたいちいち興奮する。すべてが勉強、なるほどの連続。
- 新聞は以外に高いけどそれなりに面白いし役に立つので最初から買うこと
- くるくるまわる串ものは自分の顔をまわしながら追いついたところでかじること
- マークシートをきれいに塗りつぶすことは誰も必要としていないので線を入れる程度におさえること
- いらないハズレ船券は足下へ落とすこと
- 予想があたったらガッツポーズで声を上げて払い戻しへ向かうこと
- 選手には愛ある罵声を浴びせること
- アジフライは手でおさえながらしっぽをちぎって足下へ落とすこと
そんなことを学んだ。午後の数レースをこなすと、気がつけばすっかり馴染んでいる自分たちの状況に笑う。これは面白い、ビクビクしてる場合じゃない。周りを見ると同じように真剣に水面を見つめるおっさんたち。いい大人たちが青空の下、ひとつのことに熱中しながら、胡瓜やアイスをかじったり、ガッツポーズをとったり、「バーカ」と選手に叫んだりするその様は、まさに無邪気そのもの。小さな舟に罵声とともに夢をのせ、辿り着くのはいったいどこのネバーランドか。その舟に僕らも乗せてもらえるかしら。でも本当に乗っちゃっていいのかしら。
とにかくはじめてのボートが今日この人たちと一緒でよかった。また行く。