山手線内一周東京観光の昼

仲の悪い友達の部屋に行くと、バイクで有楽町の東京国際フォーラムへ連れていかれる。内容をほとんど知らずに行ったショウなので、こちらは主にニヤける彼を眺めて楽しんだ。2時間ほど会場をウロウロ。彼が「もう満足」ということで会場を出る。「せっかくこっちまで来たのだから東京カテドラルに行きたい」とわがままを言ってみた。言ってはみたものの、東京カテドラルがあるのは文京区で、「こっち」であるところの有楽町から決して近くなく、「せっかく来たのだから」という理屈は通らないと思っていたが、以外にも了解が出て、連れて行ってもらえることになった。わがままも言ってみるもの。
行くことが決まっても場所がわからないため、地図で大体の見当をつけて行く。途中の交番で道を尋ねてみたが、今朝方カツアゲに遭ったという人の相談でいそがしそうだったので、電話帳を借りて自分で調べた。正確な住所がわかって地図を見たら、ちゃんと地図にも載っていた。地図を頼りにバイクを走らせ道を曲がり(僕はぽかーんと座っているだけ)急な坂道を上ったところで大聖堂のてっぺんが見えた。
教会に行くのは生まれて初めてで、もしかしたら外観を見るだけしか出来ないのかもと思いつつ、恐る恐る入り口らしきところに入ってみたらそこが受付で、中にいたおばさんが無言で大聖堂の入り口を指し示してくれた。確かに教会はひらかれた場所だった。こんな興味本位なひょっこり野郎にも、だ。
大聖堂の内部には床に並べられた木製の参列席の向こうにの少し高くなった祭壇があって、目の前の光景を見ようとすると、視線は自然とその祭壇に向かう。そうやって水平方向に動いた視線はそこから今度は垂直方向に動き出して、祭壇の向こうの遠くの壁面に掲げられた十字架に向かうのだった。そこにいると視線がごく自然に上に向かっていくので、「上を見る」というより「吸い上げられる」ような感覚がしたのは、感化されすぎというものか。一番上の方を見てやろうと思ったら、大聖堂を照らす天井からの照明で、思わず目が眩んだ。