今日の肯定

帰り際に仏壇に線香をあげて手を合わせる。仏壇やお墓を前にした時、僕が話しかける相手はいつも死んだ祖父になる。そういえばいつも祖父ばかりだな、と思ったので今日は祖母も出してみた。祖父と祖母とその後ろにいそうな先祖さんたちにいくつかの報告と、いくつかのお願いをして家を出た。何を言っても返事はないから、いつも言いたいことを言うし、お願いもする。我ながらずいぶん勝手なものだと思いながら家を出た。
この世に「生き地獄」というものがあるのかないのかよく知らないし、仮にあったとしても僕はそれを経験したことはないから、僕にとっては「生きていること」はもうそれで十分幸福な状態だし、死んだら死んだで何もなくなるならそれも別に不幸な状態ではないと思うけど、せっかくなので生きられる限りは生きていようと、すごく当たり前のことを考えながら部屋に帰ってきた。