働く男の手

なぜか早起き。テレビは昨晩から再生しっぱなしの極楽とんぼのDVDが何回目かの再生中。そのまま続きを見はじめたらすぐに終わってしまったので、あらたに下巻を再生しそれを見はじめた。
一時間くらいの下巻を見終ってもまだ朝で、そういう「なにかをしてもまだ朝」という状況は前から好きでそんな時僕は「得した」と思う。
しかし、そう思ったら妙に安心してしまい、結局テレビをつけたまま布団の中でうとうとしてしまっていたから、実際はたいして得もしていない。
うとうとしていたところに電話がなって、その電話のおかげで僕はある約束をすっかりすっぽかしていることを思い出した。
その後いろいろあって午後からウルトラマンショーのお手伝いをする。ちびっこどもは「みんな〜、いいかな〜?はーい」とお姉さんが言えば元気いっぱい「はーい!」と叫ぶ。きっと「みんな〜、この長いおじさん臭いんだって〜。賛成のおともだちは手を元気にあげてね?はーい」とお姉さんが言えば元気いっぱい「はーい!」と叫ぶのだろうと思う。ちびっこどもが聞いているのは言葉の意味じゃなく対峙する人間から与えられるきっかけで、彼らはそのきっかけに対してほぼ反射的に応えている。「お姉さん、狂わないかな」とあらぬ期待を抱きながら、子供に好きな色を選ばせながら風船を渡していった。
最後にスタッフの記念撮影にまぜていただいたついでに、ウルトラマンと握手もさせてもらう。宇宙人と握手なんて滅多に出来るものではないからどうしてもテンションは上がる。握手を求めると、さっとこちらに向き直って手を差し出し、まっすぐに僕を見ながら(たぶん)、ぐっと強く握り返してくれたその手は、ゴツゴツした厚い皮につつまれていて、ところどころヒビ割れてガサガサしている。なんとなく職人や漁師のそれを思い起こさせてくれた彼の手は明らかに「働く男の手」だった。