視点の獲得

基本的に雨は好きではありません。ちょうど今も部屋への帰り道で、先ほどコンビニでビニール傘をわざわざ買いました。それをさして歩いていますが、自由のきかない左手や少しずつ濡れていくズボンの裾を、非常に煩わしく思っています。道をふさぐ水溜まりも滑りやすくなったマンホールも、出来ることなら無いことにしてほしいと思っています。基本的に雨は好きにはなれません。最近はパーンと晴れたと思ったら激しく雨が降ったりで「忙しい天気だな。ご苦労様なこって」などと皮肉混じりの感想を抱いていたのですが、この前ふと、こういう天気、植物はうれしいんだろうなと思ったのでした。最近ベランダで植物を育てはじめてみたからでしょうか。去年の暮れから毎日のように緑道の桜を見ていたからでしょうか。植物目線で雨を見るなんて今までしたことあったっけ、とさきほどまたふと、気づいたのでした。こうして雨が降るのをキャッキャ言いながらよろこんでいる植物の姿を想像するということが、なんとなく自分にとって新しい感覚であるような気がして、だからといって雨を好きになれるわけもなく、むしろズボンの裾が重くなるにつれ、雨への苛立ちは大きくなってきていますが、自分としては「こんなのどこがいいんだか」と思いつつ、植物目線で「雨をよろこぶ、ということをイメージ出来た」ことは、なんとなく新しいかも、とぼんやり思ったのでした。