帰り道は主に読書と盗み聞き

先週くらいから帰り道の電車の中では保坂和志の新刊を読んでるのだけれど、おかげで毎日帰り道が面白くて仕方がない。
帰り道、今日もその本を読んだり時々休んだりしながら電車の中で立っていたら、とある駅で自分のすぐ後ろに立っていた小さめなオッサン(50過ぎ)がむりやり人を押しのけて電車を降りようとしたようで、そしてどうやらそのオッサンはそういう行動に出る前から強引なポジションどり(おそらく「譲らない」とか「動かない」とかそういうやつ)をしていたようで、強引に扉へ向かおうとするそのオッサンのすぐ手前にいた大きめなオッサン(40過ぎ)が「さっきからなんなんだよ!」と小さめなオッサンに啖呵を切り、切られた小さめなオッサンも「うるせぇよ!」と応戦してしまったことから突然電車の中での言い争いが始まってしまったのだけれど、小さめなオッサンはあくまでもその駅で電車を降りようとしているものだから、ふたりの距離は少しずつ離れていって、そのあいだに無関係な人たちを挟みながら「おめーがだ!」「んだと!」と、少ない語彙でもって罵り合いは続いた。
はじめはそれを、本当にどうでもいいなと思いつつ聞いていたのだけれど、小さめなオッサンが電車を降りる間際の最後の最後に吐き捨てた言葉が「バカ!」だったので、一転してうれしくなってしまい、さっきまでの罵り合いを思い出しながら最後の「バカ!」を心の中でリフレインさせてみる。