車中の道楽とコメイ

自分は「こめい」と呼んでいる

夜、帰り道、昨晩2ヶ月ぶりくらいに充電をして使えるようになったiPodで音楽を聴きながら電車に乗る。シャッフルしていてたまたまかかったキリンジの「五月病」がなんだかよくて、車で聴いたら楽しかろうな、というか週末家に車が来たら運転しながらこれをかけよう、そうしよう、と自分で自分に賛成しながら、あらためてその曲の入ったアルバムを通して聞こうとしてみたら、思いがけずアルバムのタイトルが「ペーパードライバーズミュージック」だったので「なるほどそうか」とひとりごちる。
渋谷辺りから激混み悶絶状態になっていた東急線が郊外に向かうにしたがって徐々に徐々に乗客を減らしていって、だいぶ都心から離れたあたりでようやく誰とも触れ合わないくらいに落ち着いたので、これもまたひさしぶりに電車で読書を始めてみる。
読みはじめたのは本というか雑誌というか『新潮』なのだけれど、ひさしぶりにそういう活字を読み始めてみたら、いつも楽しみにしている連載のひとつに夢中になってしまい、電車が終点に着く頃にはすっかり面白くなっていて、思わず読みながらなにかが出そうになる。
帰宅してポストを見ると封筒包みが入っていて、中から豆ずきんが出てくる。米井という名前の豆ずきん人形はその顔がどことなく自分に似ているような気がして思わず抽選販売に申し込んだのだけれど、いまいち抽選販売という売り方の手順がわからなかったため、まだ抽選前にも関わらず申込と同時にカードで決済までを済ませてしまっていた。もしかしたらカードで支払が済んで(しまって)いるにも関わらず抽選に外れたりしてしまったら、お店の人は返金やなんやかんやの面倒な処理をしなければならなかったのではないだろうか、だからとりあえず自分は「当たり」ということしてもらえたのではないだろうか、自分はズルをしてしまったのではないだろうか、当選にまつわるそういう心配は今もあって未だ解消してはいないのだけれど、米井が家に届いたことは喜ばしいことには変わりなく、お店の人が「当たった」というのだからもういいじゃないか、という気持ちも同時にある。お金はちゃんと払っている。