コップの中のギャラクシー

去年の後半に妻がインフルエンザになったあたりからなんとなく毎日続けている「帰宅後のうがい」の成果かそれともただの偶然か、そう言えば今年の冬は一度も風邪をひいていないし、もう冬ではないから風邪をひかずに済んだといっていいのかもしれないけれど、「自分が風邪をひいたらいけない」と思ったのがその帰宅後のうがいをはじめた最初の動機であるとしたら、それを習慣的に持続させたのは水を入れたカエルのがら(コルゲン)のプラスチックコップにうがい薬(イソジン)をピュッピュと落とした時にコップの中に残っている小さな水流によって出来あがるうがい薬の茶色い渦巻銀河の見事さで、出来のよさだけでいえば緑茶を飲んだあとに茶碗の底に沈殿する茶粒以上にいい銀河が出来あがるのは水とイソジンの比重が思いがけずとてもいいバランスになっているからなんだろうかなどと考えながら、今夜も出来あがった小さな銀河を一気に飲み込んで、そして吐き出す。