お食い初め

準備はすべて実家の親がした

朝、起床して身支度。車に荷物をいろいろ積んで実家へ向かう。ぐにゃぐにゃの首都高も最近は少し慣れてきて無駄な車線変更が少なくなってきた気がするけれど、もちろんいつも走っている同じルートに限ったことだし、やけに近い車間距離のうしろの車は相変わらず大嫌い。移動中の高速で小さな事故を2度も見る。
昼過ぎに実家に到着。庭に出ていた父親も家の中にいた母親も、連れていった赤ん坊を見るなり「太ったねぇ」と同じことを言う。荷物をおろしてさっそく昼食。焼いた鯛、湯葉と蕪の煮物、ほうれん草と春菊のおひたし、漬物、お吸い物、赤飯。今日は赤ん坊のためのお膳もあり、小さなお椀にちゃんとご馳走が盛られている。父親が拾ってきたという石もある。母親が赤ん坊を抱きかかえて赤飯やら煮物やら石やらを口に運んで食べさせるふりをしてから、さぁと言って大人が料理を食べはじめる。
夜、夕飯に残った鯛と煮物と漬物とおじや。食事の前に父親が、床に置いたセルフサービス式の揺り椅子に座らされた赤ん坊の顔がテーブルの反対側に位置する父親の席からだとあまり見えないらしく、揺り椅子を乗せる台を探そうとして母親に危ないからと止められる。椅子の上で最初は大人しくしている赤ん坊も、ひととおり大人が腹を満たしてきた頃になるとタイミングを計ったかのようにぐずり出して「おやおや」と言って近づいていく父親に抱きかかえてもらって「ふぅ〜」とか「ふぇ〜」とか言いながらニコニコ笑う。
夕食後、しばらくしてから赤ん坊と一緒に風呂に入ると柚子湯だった。いったん風呂につかって体を温めてから洗い場に出て石けんで顔と体と頭をワシャワシャと洗って、もう一度湯船につからせてやると、赤ん坊は気持ちがいいらしくうとうとし始めてしまう。半寝の赤ん坊の首の根っこを手のひらで押さえて支えてあげると、浮かべられた柚子と同じように赤ん坊の顔も湯船に浮かぶ。浮かんでいる赤ん坊の顔の前を柚子が通り過ぎたり、集まってきたり、また離れていったりするのを少しの間眺めてから、風呂からあげてもらうのに戸を開けて妻を呼ぶ。