内田百けん『阿房列車-内田百けん集成〈1〉』ちくま文庫

ヒマラヤ山系氏の話

三人で宿屋に泊まって払いが三十円。
みんなが十円ずつ出して帳場に持っていかせたら、
帳場でサアヴィスだというので五円まけてくれた。
それを女中が三人の所へ持ってくる途中で、
その中の二円をごまかして、三円だけを返してきた。
だからその三円を三人で分けた。
1人一円ずつの払い戻しがあったので、
1人分の負担は九円になった。

九円ずつ三人で出したから二十七円。
女中が二円棒先を切ったので、
しめて二十九円。

一円足りないじゃありませんか。


僕は馬鹿だから15分くらい楽しめた。
阿房列車―内田百けん集成〈1〉   ちくま文庫