豊田利晃監督作品『空中庭園』

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レイトショーの上映開始直後にぎりぎりアウトで滑り込むと、意外にたくさん人がいる。
他人がつくったものだから「どうかしら?」と思うような場面もいくつかはあるけれど、そんなのを軽く飛び越えてこちらの気持ちにビンタをくらわすような圧倒的な「救い」みたいなものがこの映画にはあって、それが誰かに与えられるような「救済」ではなくて、人間が自分で獲得するような「再生」だからなおのこと、観ているこちらも救われるような気分になる。
小泉今日子演じる絵里子は、容姿はすっかり大人だけれど中身はまったくの子供で、その幼さは物語が進むにつれてさらにどんどん進んでいく。終盤、血まみれで泣きじゃくる絵里子を見ているこちらはいつのまにか母性なんだか父性なんだかよくわからないけれど小さな子を見るときのような、あるいはそれとはまた違うとにかく親的な心境になっていて、キレイな中年女性がわんわん泣く姿を観ながらそういうことを感じていることに「なんだこれ?」と思いつつも「よかったねぇ、よかったねぇ」と心の中でつぶやくのだった。