ベッドの隣でいろいろ騒ぐ

夜から明け方にかけてをベッドの脇で、椅子に座ったり立ったり、お茶を淹れたりそれを飲んだり、本を読んだり閉じたり、トイレに行ったり戻ってきたり、そういうふうに過ごしながら、少しいびきの間隔があいた時には話しかけてみたり、体がもぞもぞする時には手を握ってみたりする。夜中にチャーハン、ギョウザ、焼きそば。病室が中華の匂いでいっぱいになる。
朝4時頃、どうにも眠くなり少しだけ横になるつもりが気がつくと6時半過ぎ。再び椅子に座ったり立ったり、体を動かしたり歩いたり、外に出てみたりしながら、やはりベッドの脇にいる。
昼、差し入れのお弁当を食べようと連れ立ってデイルームに行ってみると、ベッドに横になったまま黒の留め袖を羽織ったおばあちゃんが紋付き袴の花婿と綿帽子に白打ち掛け姿の花嫁にはさまれて写真を撮っているので邪魔をしないように我々は退散。結局病室の前の芝生に新聞紙をひろげて、そのまた上に弁当をひろげるピクニックスタイルで昼食。おにぎり、煮物、炒め物、漬け物。遠くでこちらを見た看護師さんが笑うのを見る。外に出ていると体にあたる陽射しの感じがもうなんとなく夏のそれ。
午後、控室を借りてこたつで居眠り。気がつくと夕方。病室に戻り、少し大きな声で「また来ます」と挨拶をしてから、やはり今回も車に乗せてもらって空港へ。飛行機の出発を待っている間にいつの間にか夜になる。
夜、離陸してから飛行機の小さな窓の外をふと見ると、ずっと遠くの西の方の地面と空の境目に薄いオレンジ色の帯が見える。なんだかキレイ。高いところに上がれば「夜から夕方を眺める」ことが出来ることを知る。またしばらくするとその西の空の薄いオレンジも地面の黒と空の濃紺の中に消えていた。やはり空はおもしろいなと思いつつ帰京。
深夜に帰宅、就寝。