一人暮らし

夜、家に帰ると居間の窓際にでかくて細長いダンボール箱が置いてあり、注文していた自転車が今日無事に届いていたことを知る。ダンボール箱はまったくの未開封状態で置いてあるので「開ければよかったのに、というか開けてしまおうか」と思っていたら、こたつ机の上に書きおきがあって、そこに「あとで開けるのだから手を触れてはいけない」という旨のメモが書かれているのが見つかったので、今日は手を出さないことにする。
メモにはほかに、今日の夕飯の献立と、それから家事に関するいくつかのお願いごとが書かれていて、台所を見てみるとみそ汁と煮物がメモの通りに鍋に入って置いてある。今日から妻はどこか、たぶん長野のほうだと言っていた気がするのだけれど、とにかく国内の近場のどこかしらへ旅行に出掛けてしまって不在であるので、少しの間だけこの家でひとり暮らしをすることになっている。
ならば歌に習って、好きなだけ体に悪いものを食べてやろうとか、居間のこたつで寝てしまおうとか、朝までテレビを見ていようとか、もちろん電気はつけっぱなしだ、とかいろいろ考えないこともなかったけれど、服を着替えて、夕飯を温め直してそれを食べて、風呂を沸かしてそれに入って、しばらくすると特に見るテレビもなくなり、横になりながら本を読もうと上にあがって少ししたところで急にモーレツな眠気がやって来たのでそのまま就寝。結局普段と変わりなし。