徘徊、いい気分、で決めたこと

朝、起床。ゴミ出し(可燃)をして風呂。
昼前にバスで駅前まで出掛けて散髪。髪を切られたり、頭を洗われたり、マッサージをされたり、自分から見えないところでも人の手の感触というのは皮膚を通してとてもよく感じとれるものであって、そうやって人の手に直接触れられるとたとえそれがいつも担当してくれている20代の男の人のごつい手であっても気持ちがよくなる。そうすると自分の場合はとにかく眠くなるし、その眠気を我慢する理由もないし、もともと店員さんなどと会話するのが苦手なのも手伝って、いつもグーグー寝てしまう。案の定今日も気がついたら居眠りをしていて、目が覚めたらもう散髪も終わるところだったのだけれど、ふと気になったのはその居眠りしているあいだ、自分がちゃんと正面を向いてじっとしていられたのかということで、もし髪を切られながらぐらんぐらん揺れていたとしたら、店の人は相当やりづらいだろうし、店の人に左右に落っこちそうな頭を支えながら髪を切ったりされていたとしたら、それは本当に申し訳ないなと思ったりしたものの、あらためて聞くのも恥ずかしいし、むこうも特に言ってこないので、じゃあいいんだろうなと思い直し、特に気にしないことにして店を出る。
そのまま電車に乗って昼過ぎに新宿まで出てみる。そういえば本を探していたことを思い出して本屋を物色。結局探していた本は見つからないまま、たまたまトゥーサンの新刊が出ているのが見つかったのでそれを買う。それから文房具屋で筆記具を買うとすっかり用事がなくなった。行けばなにかあるかもしれないと思い下北沢へ移動。思いついてひさしぶりにタウンホールの屋上庭園に行ってみることにする。
屋上庭園の先客は小さな女の子姉妹とその父親の三人組で、裸足の子供二人が父親の座るベンチからスタートし庭園内の生け垣をぐるっとまわってからベンチにあぐらをかいて座る父親の股間にダイブするという競争をキャッキャッと声を上げながら何度も何度も繰り返しているのを、ベンチに座ってしばらく眺める。5階の高さの屋上だからなのか風がやたらと強く吹いていて、風が通るたびに丁寧に刈り込まれた生け垣がブワッとこちらからあちら、あちらからもっとあちらへ、移動しながら揺れていて、その生け垣の向こうには、隣のビルにあげられているらしい小さな鯉のぼりが風に吹かれて揺れているのがチラチラ見える。
そのあと商店街をうろついて模型屋や古本屋を覗いてまわる。夜にやるお芝居が気になって、時間まで待って当日券の発売に並ぼうかと思っていたけれど、ひさしぶりに寄ってみた沖縄そば屋で野菜そばと一緒に生ビールを一杯飲んだらとてもいい気分になったので、満足してそのまま帰路につく。