スゥパ キャワイイ

朝、起床して水浴びをして外出。電車に乗ってみどりのに向かう途中で折れ曲がって浅草に寄って、亀十でどら焼きを買う。盆中に親戚が集まる予定の実家にも一箱送る。再び電車に乗って北千住へ向かってつくばエクスプレスの改札前で2歳になった子供の手を引いてやってきた友達と合流。その子がまだ1歳にも満たないころに二度ほどその友達の家に遊びに行ったことはあって、その子とはそのときに手を握ったり足を握ったり少しくらいは抱き上げたりした仲なのだけれど、向こうはその時のことをすっかり忘れてしまっているらしく、母親の服を掴みながらこちらを不安そうに見ている。
こちらもこちらで以前とは違ってすっかり大きくなって普通に二本足で立って歩いているその子にどういう感じでアプローチしたらいいのかがいまいち掴めず、ぎこちない挨拶をしてしまう。母親に促されて頭をカクッと下げて挨拶をしてくれたあと、エスカレータを登って電車を待つ間、こちらのことをちらちら見ながら母親に抱っこをせがんだりしてすごく甘えている感じがしたのは、彼女なりに平静を保つための防衛本能みたいなものじゃなかったかと思う。
それでも目的地へ向かう電車の中で、母親である友達の助けを借りながら少しずつ分かり合うことが出来たように思う。自分のTシャツにプリントされたライオンや変な生き物を指差しながら笑っている。そうやってだんだんと異質なものをお互いの日常の中に馴染ませていく。電車の窓にはこんもりとした森と田んぼの中に家がまばらに立っている風景がずっと見えている。
昼前、みどりの着。友達が車で迎えに来てくれていた。子供は?と聞くと家で旦那がみているという。車に乗り込んで移動、友達の自宅へ。玄関に入ると友達の旦那さんが子供を抱えながらで迎えてくれた。こちらの子供はまだ7ヶ月で、ひとりでは座ることも出来ないので、もっぱら父親に抱かれているか畳や座布団の上でひとりでごろごろと転がっている。勧められて抱きかかえてみると以外に重たい。知らない大人でも泣かない。胸の辺りをワシャワシャとくすぐるとケタケタと笑う。
昼食、友達が昼ごはんを用意してくれていたのを遠慮ゼロでごちそうになる。2歳の子供は唐揚げを素手で掴んでガリガリとかじりながら「おにふやわやはいにぇ〜(お肉柔らかいねぇ)」と言う。子供のしゃべる言葉というのはだいたいが普段聞いている母親の言葉をだいたい正確にトレースしたものらしく、他にも「あひゃんきゃわいいにぇ〜(赤ちゃんかわいいねぇ)」とか「あひゃんねんえひたにぇ〜(赤ちゃんねんねしたねぇ)」とかそういうことを言う。自分もまだおっぱいを飲んでるくせに大人目線のしみじみ感想を言う。
食後にデザートをいただいて、母親連中が授乳をきっかけに奥に引っ込んでおしゃべりをはじめたので、畳に敷いたタオルの上で居眠りをしている7ヶ月の乳児をはさんでその家の旦那さんと高校野球を見ながら話をしていたら、自分も旦那さんもいつの間にか居眠りしてしまう。座ったまま寝ているところを友達が見て「あはは」と笑う。
夕方、7ヶ月のほうの子供が突然発疹を出してむずがる。母親が医者に連れて行くことになり慌しくお別れ。旦那さんに車で駅まで送ってもらう。
帰りの電車で再び並んで座った子供が窓の外に大きな川があったのを見て「うみらねぇ(海だねぇ)」と言う。淡水の「うみ」を指差しながらこちらを見つめるその子供に「へ〜」と相づちを打ちながら、なんとなく朝よりも仲良くなれている気がしてはだしの足を指で突っついてみる。