知らねえ

夜、帰り道の電車が地下に入っているあいだに携帯電話に留守電が入っていて、知らない中年女性(オバハン)の声で「あの〜、…どちらにおかけですか〜。……もう何度もかけてこないでください……。」というメッセージが入っているのを聞いたのだけれど、そんなふうに返事をされそうな誰かにしかも何度も電話をかけた覚えがまるでなく、もちろんそんな発信履歴も残っていないのでなんのことだかさっぱりわからず、直接聞いてみようにも圏外中の着信だったために電話をかけてきた本人(オバハン)の番号はわからないままメッセージだけが残っているものだからどうしようもない。その人(オバハン)が自分の電話番号に電話をかけてくるということは、なんらかのかたちでその人(オバハン)が自分の電話番号を知っていたか、あるいは誰かにかけようと思ってかけ間違った電話番号がたまたま自分の番号だったということになるのだけれど、「もうかけてこないでくれ」というメッセージを着信の残る電話機ではない他の電話機からかけることとその場合に番号を押し間違えることの確率の低さといったら相当なもののはずだから、これはこれでいいことなのかもしれない。