線香もあげずに家を出る

朝、起床して朝食にトースト(ベーコン、玉子、あんこ)とサラダとコーヒー。支度をしてから妻と赤ん坊と三人で出発。駅まで歩いて電車で実家へ向かう。小田急線、JR、東武線と乗りついでの移動中、実家に近づくにつれて赤ん坊がベビーカーや座った親の膝の上で安定しているのを拒否してくるので、妻と自分とで交代で赤ん坊を抱っこしながら空いている電車の中で立っている。最寄の駅まで迎えに来てくれた父親の車で家に到着。
昼食に筍の炊き込みご飯、鶏の唐揚げ、サラダ、煮物、漬物、みそ汁で昼食。ひと月ぶりくらいの赤ん坊を見た両親が「体が締まってきた、硬くなってきた」としきりに言う。
夜、夕食に今日二度目の筍の炊き込みご飯、サラダ、煮物、漬物、みそ汁。ひと休みしてから入浴。風呂の中で眠ってしまった赤ん坊を太ももの上に乗せながら体を洗ってあげている最中、風呂場の扉が突然開いて、隙間の向こうからこちらを覗く父親と目が合う。扉はまたすぐに閉まって、扉の向こうで「なに、寝ちゃったん?」と、見ればわかるようなことを言いながらこちらの返答を待つわけでもなく父親が居間に戻っていく音が聞こえる。
夜中、みんなが寝たあとに、居間でひとりでBSの音楽番組を見ていると、番組の最後にテロップが流れたのを見て忌野清志郎が亡くなったことを知る。かなり前の「快復して舞台に立った」というニュースを最後に近況についての認識が止まっていたので、その情報が唐突過ぎて驚いたのと、それが冗談だとはさすがに思わなかったものの、なぜか自分は「今見ていた番組は再放送かなにかだから実際彼が亡くなったのはもっと前のことであるのだろうけれど、それにしてもなぜ今までそのことを自分は知らなかったのだろう」と思ったのだった。そしてそれがいつのことだったのかがとても気になったので、携帯を使ってネットで確認してみると、それはやはり今日の出来事だったことでなんだか妙な気分になったのは、時間についての感覚が自分の中で何度か勝手に揺らいだからだったのだと思う。それで今日は義父の三回目の命日。