生きていることは動いていること

昼前、国立へ。駅前で友達と待ち合わせてから匙屋へ向かう。ストーブの置かれた店内に展示されたいくつかの作品を眺めながら、これがいいとかこれは少し違うとか、前に見たあれがよかったけど今日はないなとか、勝手なことをあれこれ考える。結局今日は目当てのものが置いてなかったのでなにも持ち帰らないことにして、他のお客さんの応対をしている奥さんに軽く会釈をしつつ店を出て、駅に向かって歩きはじめる。
駅前の喫茶店に寄ってみようかと考えたけれど、このあとまわりたい場所もあったのでそのまま電車に乗って表参道へ向かう。結局国立には一時間もいなかったけれど、住みやすそうな街であることはなんとなくわかる。駅前に年寄りがたくさん歩いている。
昼過ぎに表参道。そば屋に入って煮込みうどんを注文する。待っているあいだは実家でよく食べていた醤油味の煮込みを想像していたので、出てきた味噌煮込みのうどんに少し戸惑ったけれど、食べはじめてみれば甘い味噌の味付けもそれなりにおいしく食べられる。
食後にその界隈にある家具屋をいくつか見てまわり、ずっと前に見つけた時からいつか注文してやろうと思っているある店のあるかたちのテーブルが今日も魅力的であることを最後に確認してから、HBギャラリーで「牧野伊三夫展」を見学。椅子に座ってDVDの映像を見ているあいだ少しだけ居眠りをする。映像の中の牧野さんはシャツの下にランニングシャツを着ていて、くびのあたりにその影がうっすらと見える。
午後、電車で下北沢へ。テラピンに入ってコーヒーを飲みながら、来る途中で現像してきた写真の束を眺めながらだらだらと会議(または雑談)。会議は踊らない。時間と質量保存の法則と棒状星雲とインターバル撮影と卒乳の話。年明けから春先までの大まかな予定を立ててふたり会議は一旦終了。
店を出ると外はもうすっかり夜で肌寒い。商店街をふらふら歩いたあと茄子おやじでカレーを食べて、腹がふくれたところで今度はマサコに入って再びふたり会議(または雑談)。大きなスピーカーのすぐ隣の席に座ってしまったので、テーブルの向こうで友達が話す声は大音量のジャズにかき消されて半分くらいしか聞こえてこないのだけれど、相手の様子をうかがいながら適当に相づちをうったりしていたら、いつのまにか話が進んで年明けの予定ももう少し具体的になっていた。いい時間なので会議を終えて店を出る。
帰りがけに、近所に住んでいる友達の部屋の前まで遠回りしてインターホンを鳴らす。友達は部屋にいたのだけれど部屋にあがる気はなかったし時間も時間なのでインターホン越しに適当な挨拶をしただけで、来た道を戻って駅へ向かう。帰宅。