風景

田んぼ

梅雨の真っ最中のはずなのに、空が青く雲が白い。 田んぼの緑がずっとむこうのほうまで続く。実家で梅の実をとり、いもを掘ってきた。 梅の実はこれから一年かけて梅干しになる。 じゃがいもはこれで冬までの分はまかなえる。食事の支度の前に前の畑に出て材…

態度

突然の雨がようやくあがる。 空の低いところを暗い灰色の雲、それよりも少し高い空を白い雲が流れていく。 灰色の雲は流れがはやく刻々とかたちを変えながら流れていく。 そうして何層かに重なった雲の向こうに、ところどころ空の青色が見える。 雲の流れる…

今夜まんまる。

視線

マサコの二階にサル。 目が合った。

夕焼け

仕事場から部屋に帰る。 夕焼けを眺めながらなんて何年ぶりかしら。

灯台にて

伊豆半島の南端、下田の爪木崎。 バス停前に四軒ある食堂を兼ねた売店のうち、 一軒は奥に引っ込んでいるのか店の人の姿が見えない。 あとの二軒は開いているのかいないのかすらわからない。 残る一軒はおかみさんが店先に出ている。 おかみさんは近所の人と…

ある場面

「あなたちょっと疲れてんのよ」 朝食の支度をしていた夏川結衣演じるところの妻が、 背中ごしに僕にそう言った。 マンションの5階にあるこの部屋のベランダからは、 一戸建てが並んだ街並みの向こうにある神社の境内の木々の緑がよく見える。 居間の奥にあ…

京都駅新幹線ホーム

薄曇りの京都駅。 風は比較的あたたかい。

傘を構えど雨降らず抱えて歩く

満月

いつも、ふいに。 見上げると月があって、きれいにまるい。 もう少ししたら、外に出て月見もいい。 春の月夜、おとといのこと。

ある親子の悲喜劇

午後六時。 結構混んでる電車の中でロッテリアのハンバーガーを食べる 母親と小学校三四年の女の子。 時間と空腹をどちらも選んだ親子の喜劇。 ひとつを選びきれなかった親子の悲劇。

隣の客

喫茶店で隣に座った男女ふたり組みの客の、 女の人がよく笑う。 笑うと声がやたらとでかい。 だんだんいらいらしてきた。

開花

昨日の陽気で、 桜の花が咲きはじめた。

言い訳

階段を足早に降りていて、 思いがけずステップを踏んでしまった。 トトン。 いや別にウキウキはしていないのですが、と、 誰にともなく言い訳をする。

かお

昨日はすれ違う人の顔が、 なぜだか大きく見えた。 横柄な人に会ったとか、 自分に自信が持てなかったとかでなく、 文字通り「顔」が「大きく」「見えた」。 きっと気のせいだろうけど。

鰻屋にて

鰻重には食後に果物がつくが、 鰻丼にはつかない。 一緒にいた人が食べていたのはしら焼き定食で、 しら焼き定食には果物がつく。 私の食べていたのは鰻丼なので、 本来果物はつかないはずなのに、 店のおねえさんは私にも果物を給仕してきた。 「私には果物…

当選

宝くじ、今年は当たる気がします。 という人が、以外に多い。 かくいう自分もそのひとりである。